「あけぼの」への思い #23

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吹雪の朝・遅延3時間
1997/01(陸羽東線 長沢〜南新庄)

実家の山形(天童)へ帰省のついでに、
夜、新庄へ上り「あけぼの」のバルブ撮影に向かった。

ところが、新庄駅に着くと「列車が大幅に遅延している」とのこと…。
秋田・山形県境の雄勝峠で豪雪のため、運行に支障がでているのだという。
結局、上り「あけぼの」は、2時間以上遅れて新庄駅を出発していった。

この当時「あけぼの」は、陸羽東線経由で運転されていて、
非電化の陸羽東線内はDE10形というディーゼル機関車が2両ひと組(重連)で、
新庄と小牛田の間を折り返しで、1往復する運用が組まれていた。
つまり、上り列車が遅延すれば、そのまま下り列車にも影響する。

新庄駅を2時間以上遅れて出発していった機関車が、
再び下り「あけぼの」を牽いて帰ってくるのが2時間以上遅れることは間違いない。

当時「あけぼの」が新庄に到着するのは4:49。
夏至近い頃でなければ、走行シーンを撮影することなどできない。
それが、過酷な厳冬を走る姿が見られそうであった。
列車の遅延を受ける乗客や、仕事に就く関係者には、気の毒であり、
決して嬉しい気持ちではなかったと思うが、
とんでもないシーンを撮影できるかも知れない…と冷静に思った。

未明のうちに、撮影場所へ移動する。
雪の壁は高く場所探しに難儀したが、南新庄から長沢の間に、
カーブした線路を見渡す踏切があるのを思い出した。

その4種踏切は、冬期は閉鎖されていたが、
腰まで雪に埋もれながら、どうにか近づくことができた。

カメラに300mmのレンズを装着。列車の編成は全部入らなくていい。
先頭の機関車を中心に迫力ある姿を捉えることができれば…
そう思いながら、三脚を据えて、ひたすら“その時”を待った。

吹雪の猛威は衰えず、時折、風景を真っ白に染めた。
いい加減な装備であった為、足下から受けた寒さが全身に染みてくる。
指先はかじかんで、すでに感覚が麻痺しはじめていた。

時計の針が7時半を過ぎた頃と思う。
小牛田方面への普通列車が通過後しばらくして、
微かに空気が振動し、ジョイント音が近づいて来た。
やがて、ゆっくりと、そして確実に、
雪を蹴って「あけぼの」が姿を現した。

雪まみれの機関車に輝くヘッドライト、
正面に掲げられた「あけぼの」のヘッドマークも半分雪に覆われていた。

幻のシーンを目撃した事と、列車を運行することの凄さを感じ、
寒さとは逆に、熱い感情に震えた。
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